大相撲の土俵で数々の熱戦を繰り広げ、日本中に感動を与えた元大関・琴奨菊。10年ぶりの日本出身力士初優勝を成し遂げた不屈の精神や、代名詞となった「琴バウアー」のパフォーマンスは、今なお多くの相撲ファンの記憶に深く刻まれています。
2026年現在、引退を経て「秀ノ山親方」として後進の指導にあたる彼の現役時代の栄光から現在の歩みまで、公式記録や信頼できる報道データをもとに徹底的に紐解いていきます。
元大関・琴奨菊のプロフィールと生い立ち:相撲漬けの幼少期

琴奨菊 和弘(ことしょうぎく かずひろ)は1984年1月30日生まれ、福岡県柳川市出身。佐渡ヶ嶽部屋に所属した元大相撲力士です。本名は菊次 一弘、身長180cm、体重177kg。得意手は左四つ、がぶり寄りであり、愛称は「キク」として長年親しまれました。
建設会社を営む父の下、3人兄弟の末っ子として誕生した彼は、祖父の影響で小学3年生から相撲を始めました。祖父特製の土俵での1日2時間の稽古に加え、隣のグラウンドでの100メートルタイヤ引きなど、徹底した英才教育を受けて心身を鍛え上げました。小学生時代の文集には「横綱になって明治神宮で土俵入りする夢」を記すなど、幼少期から角界の頂点を目指す強い意志を持っていました。
悲願の初優勝:2016年初場所で果たした日本出身力士としての快挙
琴奨菊のキャリアにおける最大のハイライトは、何といっても2016年1月場所の初優勝です。中日に稀勢の里との対戦を制して勢いに乗ると、10日目に鶴竜、11日目に白鵬、12日目に日馬富士と3横綱を次々と撃破。3横綱連破は1991年初場所の霧島以来、実に25年ぶりの快挙となりました。
千秋楽では豪栄道を破り、14勝1敗の成績で悲願の初優勝を飾りました。これは2006年1月場所の栃東以来、59場所ぶりとなる日本出身力士の優勝であり、日本中が歓喜に包まれました。新大関としての26場所目での初優勝は昭和以降の新大関で史上最スロー記録であり、苦難を乗り越えて掴み取った栄冠として相撲史に深く刻まれています。
琴奨菊の代名詞「琴バウアー」の由来と封印・復活の背景
土俵で見せる豪快な反り返り、通称「琴バウアー」は、琴奨菊の代名詞としてファンの絶大な人気を集めました。このパフォーマンスは、フィギュアスケートの荒川静香選手の「イナ・バウアー」にインスパイアされたものとして広く知られています。
しかし、自身の相撲スタイルや精神的な変化、コンディションの調整に伴い、一時期は「琴バウアー」をあえて封印していました。プロ野球選手の内川聖一選手との対談で「気持ちを敷き詰めたら、どんな球も打ち返せる気がする」という言葉に刺激を受け、自身の相撲における集中やスイッチのあり方を見直したことが背景にあったと語られています。
その後、ファンの熱い要望に応えてトークショーなどで再び披露されることもあり、引退相撲の際には5歳の長男、1歳の次男とともに親子揃って見事な「琴バウアー」を披露し、両国国技館の観客を大いに沸かせました。
琴奨菊の主な軌跡とキャリアのマイルストーン
公式記録や報道に基づく琴奨菊の歩みを、分かりやすく表にまとめました。
| 時期・年 | 主な出来事・キャリアの転換点 | 備考・実績 |
|---|---|---|
| 1984年1月 | 福岡県柳川市に生まれる | 本名:菊次 一弘 |
| 2002年初場所 | 初土俵を踏む | 佐渡ヶ嶽部屋に入門 |
| 2004年九州場所 | 新入幕を果たす | 若くして幕内の舞台へ昇格 |
| 2011年九州場所後 | 大関昇格が決定 | 最高位となる東大関に到達 |
| 2016年1月場所 | 幕内初優勝を達成 | 10年ぶりの日本出身力士優勝 |
| 2020年11月場所 | 現役引退を表明 | 年寄「秀ノ山」を襲名 |
| 2022年10月 | 両国国技館で引退相撲・断髪式 | 約400人が参加し、新たな道へ |
引退と現在の歩み:秀ノ山親方として後進の指導へ
長年土俵の第一線で戦い続けた琴奨菊は、2020年11月場所をもって現役を引退しました。引退後は日本相撲協会の年寄「秀ノ山」を襲名し、後進の指導者としての道を歩み始めています。
2022年10月1日には両国国技館で盛大な引退相撲および断髪式が開催され、多くの関係者やファンが駆けつけました。師匠である佐渡ヶ嶽親方やかつてしのぎを削った仲間たちがはさみを入れる中、土俵人生に別れを告げました。現在は秀ノ山親方として、自身の経験や培った技術を次の世代の力士たちに伝えるため、日々の指導に情熱を注いでいます。
【琴奨菊】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:琴奨菊の現在の肩書は何ですか?
A1:2020年11月の現役引退後は日本相撲協会の年寄「秀ノ山」を襲名し、現在は秀ノ山親方として後進の指導にあたっています。
Q2:琴バウアーはなぜ生まれたのですか?
A2:フィギュアスケートの技から着想を得たもので、気合を入れるための独自のルーティンとして土俵上で披露され、代名詞として愛されました。
Q3:琴奨菊の最高位と優勝の記録は?
A3:最高位は東大関です。2016年初場所で14勝1敗の成績を挙げ、10年ぶりとなる日本出身力士としての幕内初優勝を果たしました。
まとめ:昭和・平成・令和を駆け抜けた不屈の力士の足跡
福岡の地で祖父と二人三脚で相撲の道を歩み始めた少年が、幾多の試練やケガを乗り越えて大関へ登り詰め、日本出身力士として歴史的な優勝を成し遂げた軌跡は、日本相撲界の宝といえるでしょう。
「琴バウアー」に代表されるエンターテインメント性と、泥臭くもひたむきながぶり寄りの相撲スタイルは、今なお多くの人々の心に残り続けています。土俵を去った現在も、秀ノ山親方として相撲界の未来を支える彼の今後の活躍から目が離せません。