日本経済界を牽引する重鎮として、長きにわたり日本経済の舵取りを担ってきた十倉雅和氏。住友化学での経営手腕から、経団連(日本経済団体連合会)会長としての国家的な大役、そして2025年日本国際博覧会協会(大阪・関西万博)のリーダーシップに至るまで、その歩みは日本の産業史と深く結びついています。
本記事では、十倉雅和氏のプロフィールや東京大学卒業からの華々しい経歴、住友化学社長・会長としての実績、さらにはサステイナブルな資本主義を掲げた理念に至るまで、その人物像と軌跡を多角的に解説します。
十倉雅和のプロフィールと経歴:東京大学から住友化学のトップへ

十倉雅和(とくら まさかず)氏は、1950年(昭和25年)7月10日に生まれました。学生時代は学問に励み、日本の最高学府である東京大学へ進学。卒業後は1974年に住友化学工業(現在の住友化学)に入社しました。
入社後は主に経理や企画などの管理部門を中心にキャリアを積み、海外勤務なども経験しながら企業の中枢へと登り詰めていきます。2000年代以降は経営の要職を歴任し、常務執行役員などを経て、2011年に住友化学の代表取締役社長に就任しました。
社長就任当時は、化学業界を取り巻く世界的な競争激化や原燃料高騰といった厳しい経営環境に直面していましたが、ポートフォリオの構造改革や事業の多角化・高度化を断行。その卓越した経営手腕により、同社の収益基盤を強固なものへと変貌させました。その後、会長職を経て、現在は住友化学株式会社相談役を務めています。
住友化学での実績と「サステイナブルな資本主義」の哲学
十倉氏の住友化学における最大の功績は、単なる業績の向上だけに留まりません。住友グループに脈々と受け継がれる「住友の事業精神(自利利他、公私一如)」を現代のグローバル経済に適合させ、「サステイナブルな資本主義」という独自の理念を提唱した点にあります。
化学メーカーの本質である「素材・技術の力」を活かし、気候変動問題やカーボンニュートラル、環境負荷低減に向けた研究開発を強力に推進しました。短期的な利益追求に走るのではなく、地球環境や社会の持続可能性と企業の成長を両立させる経営モデルの構築に尽力し、日本の製造業全体の環境意識を引き上げる原動力となりました。
日本経済団体連合会(経団連)会長としての歩み
住友化学での実績が高く評価され、十倉氏は2021年に日本経済団体連合会(経団連)の第6代会長に就任しました。コロナ禍からの経済回復、激変する国際情勢、そしてデジタル化(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)という歴史的な転換期において、日本財界の「顔」として舵取りを任されました。
経団連会長としての任期中には、賃上げのモメンタム維持や、スタートアップ育成に向けたエコシステムの構築、経済安全保障の強化など、多岐にわたる重要課題に対して政府と産業界の橋渡し役を担いました。常に「対話と協調」を重んじながらも、日本の構造改革に向けた提言を精力的に発信し続けました。
2025年日本国際博覧会協会での活動とリーダーシップ
十倉氏のキャリアにおいて特筆すべきもう一つの大きな役割が、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(大阪・関西万博)での活動です。代表理事および名誉会長として、国内外の関心を集めた2025年日本国際博覧会の準備から開催に至る全プロセスを統括しました。
パビリオン建設における資材高騰や労働環境の課題、あるいは運営に関する様々な逆風が吹く中でも、経済界や政府、自治体との強力な連携を主導し、プロジェクトを完遂へと導きました。「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマを体現すべく、最先端技術や持続可能な社会のあり方を世界に向けて発信する場を創り上げた功績は、非常に大きなものです。
【年表】十倉雅和の主な経歴と役職の軌跡
これまでの十倉雅和氏の歩みを、主要な節目とともに整理します。
| 時期・年代 | 主な役職・出来事 | 備考・実績 |
|---|---|---|
| 1950年7月 | 誕生 | - |
| 1974年4月 | 住友化学工業(現・住友化学)入社 | 東京大学卒業後、経理や企画部門を中心にキャリアを築く |
| 2011年4月 | 住友化学 代表取締役社長 就任 | 事業構造改革を断行し、収益基盤を強化 |
| 2019年4月 | 住友化学 代表取締役会長 就任 | 経営の監督に移行し、グループ全体の持続的成長を支援 |
| 2021年6月 | 日本経済団体連合会(経団連)会長(第6代)就任 | 「サステイナブルな資本主義」を掲げ、日本経済を牽引 |
| 2025年 | 2025年日本国際博覧会協会 代表理事・名誉会長 | 大阪・関西万博の成功に向け、国内外の陣頭指揮を執る |
| 現在 | 住友化学 相談役 / 経団連名誉会長 | 長年の経験を活かし、各方面で助言や指導を行う |
【十倉雅和】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:十倉雅和氏の現在の役職は何ですか?
A1:現在は住友化学株式会社の相談役を務めており、日本経済団体連合会(経団連)の名誉会長としても日本の産業界に深く寄与しています。
Q2:十倉雅和氏が経団連会長時代に最も力を入れた政策は何ですか?
A2:「サステイナブルな資本主義」の実現を掲げ、気候変動対策(GX)やデジタル化(DX)の推進、持続可能な賃上げの定着など、日本経済の構造転換に向けた提言と実行に尽力しました。
Q3:2025年日本国際博覧会において十倉氏はどのような役割を果たしましたか?
A3:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の代表理事・名誉会長として、大阪・関西万博の運営や準備全般を総括し、成功へと導くための強力なリーダーシップを発揮しました。
まとめ:日本経済の未来を形作ったリーダーの足跡
十倉雅和氏は、東京大学を卒業して住友化学に入社して以来、一貫して現場主義と高い倫理観をもちながら経営者としての階段を上ってきました。住友化学での構造改革、経団連会長としての国家的な経済政策の主導、そして大阪・関西万博の成功に向けた奔走は、いずれも日本の現代史において欠かせない重要なチャプターです。
短期的な利益にとらわれず、地球環境や社会との調和を重んじるその姿勢は、これからの時代を生きる次世代の経営者やビジネスパーソンにとっても、大きな羅針盤となるはずです。